彼女の手を取ればびっくりするほど手先が冷え切っていた。皮膚はふやけて細かな皺を寄せている。
この寒い日に水仕事を任されていたのだろう。もう一方の手を重ねると、凪の表情は緩む。
──あったかいですね。
もし彼女の口から言葉が出たらそう言っているだろう。
いつになれば言葉が戻るのか。二十にも満たない娘にとってはあまりにも過酷で心が傷む。
あの時、もっと早く辿り着いていれば……。否、もっと早くに見つけていれば……。
少しでも、その傷が癒えてほしい。そう願って両手を重ねたまま、手の甲に額をつける。
覚書
